昨今、認知症による行方不明や徘徊が社会問題になっています。
警視庁の統計によると
認知症に係る行方不明者数
令和5年は、統計をとり始めた平成24年以降で最多となる1万9,039人
(前年比330人増加)となりました。
単純に高齢者が増加しており、それに伴って認知症の方も増加していることが原因と思われます。
そして残念なことに令和5年だけで認知症行方不明者、553名の死亡が確認されています。
溺死や低体温症などが死因として報告されています。
このような最期は、ご本人もご家族様も辛かろうと思います。
そしてもうひとつご家族が危惧するのは事故に巻き込まれたり、事故を起こしてしまうことですよね。
以前にこんな事故がありました。
2007年12月、JR共和駅(愛知県大府市)で認知症の高井良雄さん(当時91)が電車にはねられ死亡する事故が起きました。
JR東海は高井さんの家族に約720万円の損害賠償を請求。
結局、2016年の最高裁がJR東海の損害賠償請求を否定する逆転判決となりましたが、
認知症の方のご家族様にとっても非常に切実な問題なのではないでしょうか。
父はデイサービスから帰宅した夕方、一緒にいた母(当時85)が6~7分まどろんだ間に、道路に面した扉から出て行ったようです。その扉から出て行ってしまうのは初めてのことでした。家の別の玄関扉は父が近づくとチャイムが鳴るようになっていて、母は夜な夜なチャイムに起こされる生活を送っていたのです。目を離した母を責めることはできません。
ご家族様の介護負担が非常に大きかったことが予想されます。
昨今は老老介護ですから「共倒れ」なんでことにもなりかねません。
また介護者が倒れてしまうと、介護される側も自宅で暮らせなくなり、施設入所なんていうことも数多くあります。
介護者をどう支えるか、仕組み作りや認知症に関する啓発活動を進めていく必要があります。
行方不明、死亡を減らすには?
東京都健康長寿医療センター研究所によると行方不明になってから翌日までは生存の可能性が高いそうです。いなくなったことがすぐにわかって、捜索までの時間を短くすることが大事ですよね。
しかし、四六時中、1秒たりとも目を離さないというのは現実的ではなく、介護者の負担も相当なものになります。
行方不明を防ぐ対策
- GPS機器やセンサーを活用する
- 近所の方や地域の方の協力を得る
- 行きそうなところをあらかじめ目星をつけておく
この時代、なかなか便利なものが普及してきています。介護負担軽減のために、テクノロジーの活用は必要不可欠と思われます。
|
GPSシューズの例
地域で支え合う 認知症サポーターの取り組み
または、地域の方どうしの繋がりを深めることですね。そして、認知症の方への理解を促進することが大事です。
政府は、認知症に対する正しい知識と理解を持ち、地域で認知症の人やその家族に対してできる範囲で手助けする「認知症サポーター」を全国で養成し、認知症高齢者等にやさしい地域づくりに取り組んでいます。
私は介護施設に勤めていますが、介護業界でもそこまで浸透していない状況です。
この記事をみて知った方もいるのではないでしょうか。
地域によっても熱心に講座を開いているところもあれば、あまり…というところもあります。
昔は、認知症になったら人目を避け、家に閉じこもるように生活していた、なんていう話も聞きます。サポーターの方が地域に増えていくと、認知症の方でも偏見を持たれずに、支え合って(互助)暮らしていくことができそうですよね。
ご興味のある方は、在住、在勤の自治体の方へお問い合わせください。