介護予防と健康づくり

要介護になる原因トップ3を深掘り!

👩🏼「介護が必要になる原因って、いったい何が多いんでしょう?」

これは、地域でお話をしているときによく聞かれる質問です。漠然と「年をとったら…」と心配されている方は多いのですが、実は原因の上位3つで、要介護者全体のほぼ半数を占めていることをご存じでしょうか。

この記事では、最新の厚生労働省データをもとに、要介護になる原因トップ3と、それぞれの予防のコツ、そして「いざ入院した」「介護が必要かも」というときに頼れる相談先までを、わかりやすくまとめました。

この記事でわかること
  • 要介護になる原因トップ3と、それぞれの最新データ
  • 要介護度が上がるほど目立つ「ある病気」の正体
  • 認知症・脳卒中・骨折転倒——今日から始められる予防のコツ
  • 入院したときに頼れる「地域連携室」と医療ソーシャルワーカー(MSW)の使い方
[目次表示]

要介護になる原因トップ3(最新データ)

要介護総数は約708万人——3大原因でほぼ半数

まず、全体像から押さえましょう。

厚生労働省が公表した2023年度の「介護保険事業状況報告(年報)」で、要介護・要支援の認定者数が初めて700万人を突破したことが分かりました😱認定者数は708万人。前年度(694万人)から14万人(2.0%)増え、過去最多を更新しました。これは65歳以上の人口(約3,585万人)のうち 約19.4%、つまり 5人に1人 にあたります。

参考:要介護認定者数、初の700万人超 高齢者の19.4%で過去最多 厚労省 JOINT介護

私の住んでいる長野県全体の人口がおおよそ197万人ですから、長野県の人口の3.5倍もの人が、何らかの介護や支援を必要としている計算になります。決して他人事の数字ではありません。

「5人に1人」「長野県の3.5倍」——数字で見ると、介護はもう「特別な人の話」ではなく「ご近所みんなの話」になっていることがわかります。

表で見る:総数・要介護・要支援別ランキング

最新の認定者数は708万人(2023年度)ですが、「介護が必要になった原因」を調べた最新の調査は2022年のものです。ここからは2022年調査のデータでご紹介します。

厚生労働省の「2022(令和4)年 国民生活基礎調査」によると、介護が必要になった主な原因は次の通りです。

参考:2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況 介護の状況 厚生労働省

【要支援+要介護の総数】

順位 原因 割合 概算人数
1位 認知症 16.6% 約115万人
2位 脳血管疾患(脳卒中) 16.1% 約112万人
3位 骨折・転倒 13.9% 約96万人
4位 高齢による衰弱 13.2% 約92万人
5位 関節疾患 10.2% 約71万人

※概算人数は2022年調査時点の要介護(要支援)認定者数約694万人を分母として筆者が算出

【要支援(比較的軽い段階)の人だけで見ると】順位は変わります。

順位 原因 割合
1位 関節疾患 19.3%
2位 高齢による衰弱(フレイル) 17.4%
3位 骨折・転倒 16.1%
介護の「入り口」の段階では、運動器のトラブルとフレイル(虚弱)が主役です。ここで対策ができれば、要介護段階への進行を遅らせることができます。これが私たち理学療法士が「介護予防」を強調する理由でもあります。

2026年2月20日の衆参両院の本会議で施政方針演説の中で高市首相も「攻めの予防医療」を打ち出してくれています。今後ますます予防が重要になってくるでしょう!💪

参考:高市首相、「攻めの予防医療」で健康寿命の延伸、施政方針演説 m3.com

要介護度が重くなるほど脳卒中が浮上する

もうひとつ大事なポイント。要介護4・要介護5(重度)の1位は 脳卒中 です(要介護4で28.0%、要介護5で26.3%)。

脳卒中は一度発症すると後遺症が残りやすく、一気に介護度が上がってしまう病気。だからこそ「予防」の価値が他のどの病気よりも高いとも言えます。脳卒中も「運」任せではなく「予防」できると言われています!

なぜこの順位?それぞれの原因と「抱える不安」

第1位:認知症——65歳以上の8人に1人

2022年時点で、認知症の高齢者は約443万人、有病率は12.3%。つまり65歳以上の約8人に1人が認知症です。

加えて、認知症の手前の段階である「軽度認知障害(MCI)」の人が 約559万人。両者を合わせると 1,000万人を超え、高齢者の約3.6人に1人 が認知症またはその予備群となります。

2040年には認知症の高齢者は 584万人 まで増えると予測されています。

参考:認知症及び軽度認知障害の有病率調査並びに将来推計に関する研究 厚生労働省(九州大学 二宮利治教授)

第2位:脳血管疾患(脳卒中)——突然やってくる

脳卒中とは、脳の血管が詰まる「脳梗塞」、破れる「脳出血」「くも膜下出血」の総称。日本では脳卒中の約75%が脳梗塞です。最大の原因は 高血圧。生活習慣病をきちんと管理することが、最大の予防策になります。

参考:脳血管障害・脳卒中 厚生労働省 e-ヘルスネット

第3位:骨折・転倒——転倒事故の約6割は家の中

意外に思われるかもしれませんが、高齢者の転倒事故の約6割は自宅で起きています。発生場所の上位は、居間・寝室、玄関、階段・廊下、浴室です。

そして、転倒・転落・墜落で亡くなる高齢者は 年間8,851人(令和2年)。これは高齢者の交通事故死(2,199人)の 約4倍 にあたります。「車に気をつけて」より「家の中に気をつけて」と言うほうが、実は理にかなっているのです。

参考:高齢者の事故防止に向けた注意喚起資料 消費者庁(厚生労働省「人口動態調査」より作成)

今日からできる「ピンコロ」のための予防習慣

認知症:14のリスク因子で最大45%が予防・遅延可能

2024年7月、世界的に権威のある医学誌『The Lancet』の国際委員会が、最新の認知症予防レポートを発表しました。それによると、14の修正可能なリスク因子に取り組むことで、認知症の最大45%が予防または発症を遅らせられるとのこと。

参考:Dementia prevention, intervention, and care: 2024 report of the Lancet standing Commission The Lancet(2024年7月31日)

14のリスク因子は次の通りです。

【若年期】低教育
【中年期(45〜65歳)】難聴、高血圧、肥満、頭部外傷、過度の飲酒、高LDLコレステロール
【高齢期(65歳超)】喫煙、うつ病、社会的孤立、運動不足、糖尿病、大気汚染、視力低下

特に60〜70代の方に注目していただきたいのは、難聴、社会的孤立、運動不足、視力低下。「補聴器をきちんと使う」「人と会う機会を作る」「毎日歩く」「白内障の治療を先延ばしにしない」——どれも今日から始められることばかりです。

脳卒中:「収縮期血圧130mmHg未満」と減塩がカギ

システマティック・レビューならびにメタ解析の結果から脳心血管病発症リスクを考慮し、「原則的に収縮期血圧130mmHg未満を降圧目標とする」とした。

高齢者などはもう少し高く設定されるようです。下げすぎて目眩やふらつきが生じることがありますからね。

参考:『高血圧管理・治療ガイドライン2025』発刊/日本高血圧学会 Carenet医療ニュース

食塩の摂取目標量は、18歳以上で男性7.5g/日未満、女性6.5g/日未満(厚生労働省「日本人の食事摂取基準2025年版」)。ところが現状の平均摂取量は男性10.7g、女性9.1gで、目標を約3g上回っています。

参考:令和5年 国民健康・栄養調査結果の概要 厚生労働省

日本脳卒中学会のこちらの資料もとても参考になりますのでご覧くださいね。

参考:脳卒中の予防・発症時の対応 日本脳卒中学会

骨折・転倒:家の中の「危険ゾーン」総点検

転倒予防は、運動と環境整備の両輪です。

家の中チェックリスト
・電源コードが歩く動線をまたいでいないか
・1〜2cmの小さな段差にスロープや手すりがあるか
・夜中の動線(寝室〜トイレ)に足元灯はあるか
・床に物が散乱していないか

参考:自宅内の転倒場所と特徴 筑波大学

もし入院したら——病院で頼れる相談先

予防は大事。でも、「もしも」のときに備えて知っておいてほしいのが、病院には専門の相談窓口があるということです。

「地域連携室」「医療相談室」って何?

多くの病院には、地域連携室、患者支援センター、医療相談室といった名前の窓口があります(病院によって呼び名は違います)。ここに常駐しているのが、医療ソーシャルワーカー(以下、MSW)と呼ばれる相談員です。

MSWは、社会福祉士等の国家資格をもった「福祉の専門家」。病院の中で唯一の福祉職として、患者さんとご家族の生活面の相談に乗ってくれます。

参考:医療ソーシャルワーカーの業務内容 公益社団法人 日本医療ソーシャルワーカー協会

医療ソーシャルワーカー(MSW)に相談できる6つのこと

厚生労働省が定める「医療ソーシャルワーカー業務指針」では、MSWの業務として次の6つが示されています。

  1. 療養中の心理的・社会的問題の相談:病気の告知で不安、家族関係の調整など
  2. 退院援助:退院後の介護サービス、転院先や施設の紹介・調整
  3. 社会復帰援助:復職、復学に向けた職場・学校との調整
  4. 受診・受療援助:病院選び、セカンドオピニオン、転院の相談
  5. 経済的問題の解決・調整:医療費が払えない、高額療養費制度、生活費の心配
  6. 地域活動:地域の医療・介護資源との連携
たとえば、「脳梗塞で入院した夫が、麻痺が残って自宅に戻れるか不安」「介護保険の申請をどうすればいいかわからない」「医療費が心配」——こうした悩みは、すべてMSWに相談できます。相談は無料、患者さん本人だけでなく、ご家族からの相談もOKです。

まとめ:備える人ほど、ピンコロに近づく

今回お伝えした要点をおさらいします。

・要介護になる原因トップ3は認知症・脳卒中・骨折/転倒。3つで要介護者のほぼ半数を占める
認知症は14のリスク因子に取り組めば最大45%予防可能。難聴対策と社会参加は特に大切
・脳卒中は収縮期血圧130mmHg未満減塩がカギ
・転倒の約6割は自宅。環境整備+ロコトレ+たんぱく質摂取で備える
・もし入院したら病院の地域連携室/MSWに早めに相談を

「ピンピンコロリ」は、運ではなく 準備と習慣 でつくるもの。今日からの小さな一歩が、10年後・20年後のあなたとご家族の暮らしを大きく変えてくれます。

このブログでは、これからも信頼できる公的データに基づいた健康長寿の情報をお届けしていきます。気になる方は、ぜひブックマークしておいてください。

参考文献・出典一覧

本記事の作成にあたって参考にした資料を以下にまとめました。より詳しく知りたい方はぜひ原典をご覧ください。

要介護認定者数・原因に関するデータ

認知症に関するデータ

脳卒中・高血圧・食塩摂取に関するデータ

骨折・転倒に関するデータ

医療ソーシャルワーカー(MSW)に関する資料

政策・施策に関する情報

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※本記事の数字は2026年5月時点の公表データに基づきます。