誰でも衰える!だからこそ知っておきたい介護のこと
年齢を重ねれば、誰でも少しずつ身体の機能は衰えていきます。
「まだ先のこと」と思っていても、いざというときに慌てないためには、早めに知っておくことが大切です。
私は地方で理学療法士として働いているのですが、高齢者の方からこんな声を本当によく聞きます。
👵「息子は東京に住んでるんです。娘はわりと近くにいるけど、あっちのご両親の介護もあってね」
人口の東京一極集中と高齢化――。現場にいると、ひしひしと感じます。
仕事をしながら介護をする「ビジネスケアラー」も増えており、介護を理由に仕事を辞めざるを得ない「介護離職」も大きな社会問題になっています。
うまく介護サービスを使って共倒れにならない工夫が必要です!
○そもそも介護保険ってなに?
介護保険は、介護が必要になった方を社会全体で支えるための公的な保険制度です。
かつて日本では、親の介護は家族が担うのが当たり前とされていました。しかし少子高齢化や核家族化が進み、家族だけで介護を抱えるのは難しい時代になっています。
そこで2000年(平成12年)にスタートしたのが介護保険制度です。制度の柱は次の3つです。
①自立支援:すべてのお世話をするのではなく、ご本人ができることはご自身で行い、能力を活かして自立した生活を目指すこと
②利用者本位:利用者自身がサービスを選び、事業者と契約して利用できること
③社会保険方式:みんなで保険料を出し合い、必要な方にサービスを届けるしくみであること
運営の主体は全国の市区町村です。財源は、私たちが納める保険料が50%、国・都道府県・市区町村の公費(税金)が50%で賄われています。
介護保険に入るのは誰?――40歳から関係あります
「介護保険は高齢者のもの」と思っていませんか?
実は40歳になると全員が介護保険に加入し、保険料の支払いが始まります。
被保険者は年齢によって2つに分かれます。
●第1号被保険者(65歳以上)
原因を問わず、要介護・要支援状態になればサービスを利用できます。保険料は原則として年金から天引きされます。
●第2号被保険者(40〜64歳)
加齢に起因する16種類の「特定疾病」(末期がん、関節リウマチ、初老期の認知症、脳血管疾患など)が原因で要介護状態になった場合に限り、サービスを利用できます。保険料は加入している健康保険料と一緒に徴収されます。
つまり、この記事を読んでくださっている方も、すでに介護保険の「当事者」かもしれません。
ご自身のため、そしてご家族のためにも、制度の基本を知っておくことは大きな安心につながります。
○介護保険サービスをうまく使おう!
病気や加齢などで日常生活に支障が出てきたとき、頼りになるのが介護保険サービスです。
では、実際にサービスを受けるにはどうすればよいのでしょうか?
https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/commentary/flow.html
(厚生労働省ホームページより)
サービス利用までの流れ
①申請する
65歳以上の方は、お住まいの市区町村の窓口(市役所・保健センターなど)で申請します。ご本人だけでなく、ご家族が代わりに申請することもできます。
②認定調査・審査を受ける
申請後、行政による聞き取り調査(認定調査)や、医師の意見書をもとにした審査が行われます。
③介護度が決まる
審査の結果、「要介護度」が決定されます。
軽い方から順に、要支援1 → 要支援2 → 要介護1 〜 要介護5の7段階。要介護5がもっとも介護の必要性が高い状態です。
④サービスを利用する
介護保険を使えば、限度額の範囲内で1〜3割の自己負担でサービスを受けられます。
要介護度が高いほど限度額は大きくなりますが、その分、施設での利用料金も高くなる傾向があります。
要介護認定を受けた方には、必ずケアマネジャー(介護支援専門員)が担当としてつきます。
ご本人の状態や希望に合わせた「ケアプラン」(サービス利用計画)を作成してくれますので、まずは気軽に相談してみましょう。
介護サービスにはどんな種類があるの?
介護保険で受けられるサービスは、大きく3つの分類に分かれます。
それぞれの特徴を見てみましょう。
①居宅(きょたく)サービス ―自宅で暮らしながら受けるサービス―
自宅での生活を続けながら、必要な支援を受けられるサービスです。さらに「訪問型」「通所型」「短期入所型」などに分かれます。
【訪問型】専門スタッフがご自宅に来てくれます
・訪問介護(ホームヘルプ):食事・入浴・排泄などの身体介護や、掃除・洗濯・買い物などの生活援助
・訪問看護:看護師が自宅を訪問し、健康管理や医療的なケアを実施
・訪問リハビリテーション:理学療法士や作業療法士が自宅でリハビリを提供
【通所型】施設に通って受けるサービス
・通所介護(デイサービス):日帰りで施設に通い、入浴・食事・レクリエーション・機能訓練などを行う
・通所リハビリテーション(デイケア):医師の指示のもと、施設でリハビリを中心に行う
【短期入所型】短期間だけ施設に泊まるサービス
・短期入所生活介護(ショートステイ):数日〜数週間、施設に泊まって介護を受ける。ご家族の休息(レスパイト)にも
【そのほか】
・福祉用具のレンタル・購入:車いすや介護ベッド、歩行器などの貸し出し
・住宅改修:手すりの取り付けや段差解消などの改修費の一部を介護保険で負担
②施設サービス ―施設に入所して受けられるサービス―
自宅での生活が難しくなった方が、施設に入って24時間体制で介護を受けるサービスです。
・介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム/特養):原則として要介護3以上の方が対象。長期入所が可能
・介護老人保健施設(老健):退院後のリハビリや在宅復帰を目指す施設。医師や看護師が常駐
・介護医療院:長期的な医療と介護の両方が必要な方のための施設
③地域密着型サービス ―住み慣れた地域で受けるサービス―
2006年に創設されたサービスで、お住まいの市区町村が指定・監督する小規模な事業所が提供します。
原則として、その市区町村に住民票がある方が利用対象です。
・小規模多機能型居宅介護(小多機):「通い」「訪問」「泊まり」を1つの事業所で柔軟に組み合わせて利用できる
・認知症対応型共同生活介護(グループホーム):認知症の方が少人数で共同生活を送りながら、専門的なケアを受ける
・定期巡回・随時対応型訪問介護看護:日中・夜間を通じて、定期的な訪問と緊急時の対応を24時間体制で受けられる
このように介護サービスはとても種類が多いのですが、全部をご自身で調べる必要はありません。
担当のケアマネジャーさんが、ご本人の状態や生活環境に合ったサービスを一緒に考えてくれます。
まずは「こういうことで困っている」と相談することが第一歩です。
介護認定が非該当でも大丈夫
お元気な方の場合、審査の結果「非該当」(介護認定がつかない)となることもあります。
実はこんなエピソードも……笑
👨「ばあちゃん、あんまり元気にしてると要介護をもらえないから、認知症のふりしとけ」
なんて息子さんに言われて、一生懸命演技したとかしないとか。
「非該当」となった方でも、お住まいの自治体が実施する「総合事業」(介護予防・日常生活支援総合事業)の対象になることがほとんどです。
介護認定が出なくても使えるサービスはいろいろありますので、ぜひ行政の窓口で相談してみてください。
さいごに
介護保険サービスの本分は
「自立支援、重度化予防」です。
「介護が必要になったら、もう終わり」ではありません。
うまくサービスを活用して、もう一度元気を取り戻しましょう。
現場では、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士といったリハビリ専門職をはじめ、医師、介護士、ケアマネジャー、管理栄養士、保健師など、さまざまな専門職がチームとなって利用者様を支えています。
介護サービスをうまく使ってとても元気になった😃
私はそんな高齢者の方をたくさん見てきました。
法律でも、こう定められています。
介護保険法第4条(国民の努力及び義務)
国民は、自ら要介護状態となることを予防するため、加齢に伴って生ずる心身の変化を自覚して常に健康の保持増進に努めるとともに、要介護状態となった場合においても、進んでリハビリテーションその他の適切な保健医療サービス及び福祉サービスを利用することにより、その有する能力の維持向上に努めるものとする。
このブログでも皆様の元気のためにお手伝いができれば幸いです😊
